相手の「呪い」にかからないために

<ステップ1(相手の言葉でのイラッとを言語化)>

 あなたが辛かったのは分かるし同情するけど、聞かれてないのに話し出すのはやめてほしいし、絶対あなたもそうなるから今から心しておけ、という必要はないのでは…みんなそうだと限らないし、今私は幸せなんだから、わざわざ脅さないで欲しいんですけど…。

<ステップ2(相手がこのような言葉を発した背景を言語化)>

 産後ウツになりかけて大変だったんだろうな。今までこの辛さを共有できる人が見つからなかったんだね。旦那さんが寄り添ってくれていたと思うけど、男性には出産は経験できないから、きっと本当の辛さはわからないと思ったんだよね。だから出産間近の私を過去の自分と投影してなんとかしたいと思ってしまうんだね。今までよく頑張ったね

 * * *

 事例を読んで分かっていただけたと思いますが、最初から聖人君子のように愛を持った心を持つ必要はありません。私の心も最初は悲しいことに「毒たっぷり」です。でも、その「毒」の出し方を分かって、きちんと小出しにできるから、心穏やかに気持ちを切り替えることができるのです。この毒は相手に直接投げつけるわけではなく、脳内の出来事として処理するだけなので、相手を傷つけることもありません。

 あなたの心の中の「毒」をきちんと言語化して吐き出すことができれば、自然と相手への配慮の気持ちが生まれて来るようになりますよ。毒は、「モヤモヤ」というあいまいな言葉で終わらせずにきちんと吐き出してしまうに限ります。

 誰もが心にちくちくと刺さり続ける癒えない傷を抱えて生きています。あなたが価値観の押しつけだと思ってしまう言葉は、過去に誰かが傷つきながらも頑張ってきた道なのです。そして皆、その道を誰かに認めてもらいたいものなのです。そこがわかると、もう相手の「呪い」に右往左往せずにすみますよ。ぜひ試してみてくださいね。

文/池田千恵 写真/PIXTA

この連載は、隔週月曜日に公開。下記の記事一覧ページに新しい記事がアップされますので、ぜひ、ブックマークして、お楽しみください!
記事一覧ページは ⇒ 池田千恵の「しなやか発信力」の磨き方