プレゼン専門家もでない限り、毎日プレゼンをする人、企画書を作り続ける人はなかなかいません。ですから、日々発信力を強化したいと思っていても、その訓練の場がなくもどかしく思う方も少なくないのではないでしょうか。

 実は毎日プレゼンをし続けるのと同効果の方法があります。それは新聞で目にする情報を活用することです。

●新聞の気になった内容を要約してアウトプットする

●新聞で見つけた新サービスを、自分が社内プロジェクトを通すためにプレゼンしたらどうするかという視点で読む

●新聞で使われている図解を自分のプレゼンに応用するにはどうしたらいいかと考える

 毎日の新聞を読む習慣にこの視点をプラスするだけで、ニュースを追うだけの読み方から一歩踏み込んだ活用ができます。

PREP法でインプットだけでなくアウトプットも練習する

 PREP法とはプレゼンテーションの時にコンサルタントがよく使う手法です。

P:Point(要点)
R:Reason(理由)
E:Example(事例)
P:Point(要点)

 という順番で、ひと塊で人にものを伝えるようになると、相手の頭にスッと入り理解されやすいというものです。この訓練をしていると、会話の中でとっさに相手に質問されたときも、きちんと相手の頭に入るような説明ができるようになります。

 たとえば、新聞の中で気になった記事をPREP法で要約したらどうなるかと考え、文字に起こしてみるのもおすすめです。

 一例を挙げてみましょう。2015年12月8日の日経新聞夕刊に「Nipponビジネス戦記」というシリーズがありました。<建前文化 良さもある>というタイトルで、日本でビジネスを展開するイスラエル人、インサイテック・ジャパン社長ヤイール・バウアー氏のコラムです。これをPREP法で表現すると下記のようになります。

<Point>

私が気になった記事は、イスラエル出身の日本でビジネスを展開するヤイール・バウアーさんのコラムでした。ヤイールさんは、日本の建前文化に戸惑った経験と、建前文化で逆に良かった経験を書かれていました。

<Reason>

気になった理由は、一般的に「日本はダメだ」という文脈で出てくる「本音と建前」の話が逆に日本の良さとして評価されていたからです。今弊社は朝型勤務を推進するコンサルティング会社を経営しているのですが、日本のはっきり物を言わない文化が残業を増やしているという問題意識を持っており、意外に感じたためです。

<Example>

例えば記事にはこのような事例が出ていました。
●思ったことをストレートに伝えるイスラエルの国民性とは対照的で驚いた
●しかし、理解を深めているうちに良さに気付いた
●商談が難航してもはっきり断らないため、すぐにあきらめずに難しい商談を成功させた
●はっきり断らないから逆に交渉の余地を生む

<Point>

今までは日本の「なあなあ」文化を改善するという視点でしか物事を見ることがなかったのですが、この記事をきっかけに日本的ななあなあ文化を活かしながら、朝型勤務を展開できれば、日本発の新しいワークスタイルの提案ができると視点が変わり、ワクワクしました。


 かなり情報量が多いように思えますが、これを読み上げても3分程度です。3分で自分の考えや仕事内容を盛り込みながら、ポイントを拾い上げる訓練を少しずつ続けていくと確実に力となります。