「バカだと思われたくない」を捨てる

 ヒットする企画というのは「みんながうっすらそう気付いていたこと」を明確に言語化してくれたり、商品化してくれたりすることだとよくいわれます。そもそも、なぜみんな「うっすら気付いていた」はずなのに、誰もその企画を思い浮かばなかったのでしょうか。私は、最初に感じた不思議なことや、素朴な違和感を、日々過ごしているうちに忘れてしまうからだと考えています。

 あなたが新人ならなおのこと、入社して「あれ?」「変だな」「こうしたほうがいいのに」と思った「外部の目線」「新人の目線」を、ぜひメモして忘れないようにしましょう。そして、疑問に感じたこと、どうしてこうなんだろう? と思ったことは何でも周囲に聞いてみることです。そのことにより、周囲が当たり前だと思って気付いていなかった何かが見つかるかもしれません。それがまさに「企画」のタネになる可能性はじゅうぶんあり得るのです。

 多くの人は、新しい環境で起こる最初に感じた素朴な疑問を、仕事に慣れているうちに忘れてしまいます。例えば、今回質問をしてくれた方の会社では「企画会議」が毎日のように行われているかもしれませんが、そもそも「企画って何?」という共通言語の共有が行われているかといえば、そうではないかもしれませんよね。そもそも「企画」って何? ということに疑問すら抱かないまま企画をしている可能性があります。そんな先輩方に「企画って何ですか?」と聞くことにより、先輩たちはどきっとするかもしれません。「もしかして、本来の企画とはずれているかもしれないかも」、と、改めて企画とは何かを考えるよい機会をあなたがもたらす可能性だってあるのです。

 「そもそも企画って何ですか?」なんて今更言えないし、みんな当然のように知っているので、あえて聞くのもバカだと思われそうで恥ずかしい。そんな気持ちになってしまうことも多いでしょうが、新人だからこその新しい目で、「バカだと思われたくない」を捨ててしまいましょう。新しい風を吹かせるのが新人の役割です。仕事で貢献するのはまだまだ先でも、素朴な質問なら今日からでもできますよね。