あえて極端な「ありえないもの」をつなげる

 もう一つは、普通の企画を斬新なものに変える方法です。言葉遊びの要領で、一見背反する単語をくっつけてみて、面白い言葉ができないかを考えてみるのです。

 例えば私は「朝活」を浸透させようと、2008年ごろからいろいろと企画を考えていたのですが、その中の一つに「早朝グルメの会」というものがありました。そのときに考えたのが、「朝」の気持ちよさと、何かありえないものを掛け合わせることで、みんなに興味を持ってもらえないかな? ということでした。

 今では朝活や朝食会が普通になっているので斬新さは感じないかもしれませんが、早朝グルメの会をスタートさせた2008年当時は、ホテルモーニングは宿泊者のためのもの、グルメな食べ物は夜食べるもの、という暗黙の了解がありました。つまり、「早朝」と「グルメ」は真逆のイメージを持つ単語だったのです。

 早朝グルメの会はおかげさまで話題となり、今では1000人の会員がいます。募集すると10分で満席となるほどとなり、雑誌やテレビ取材もされるようになりました。また、早朝グルメの会から派生して「早朝忘年会」(朝からシャンパーニュ)「早朝新年会」(朝から神社参拝の後、御神酒をいただく)など、年末年始の特別イベントを開催したりと、好評企画となりました。

 あなたが思い描く単語と、それと真逆のものを何かつなげられないかな? と考えて、面白い化学反応を楽しんでみると新しい発見があるかもしれませんよ。

 このように、みんなの「こうだったらいいのに」や、「意外な組み合わせで楽しいな」を思い付き、それをみんなに「面白い」と思ってもらえるように道筋を立てて表現することはすべて「企画」なのです。

 企画というと難しいものや特別なものに思いがちですが、発想を変えたり頭を軟らかくしたり、イラッとしたことをきちんと覚えておいたりすることを日々クセ付けしていくと、やがてさまざまな企画が浮かぶようになりますよ。

 ぜひあなたの素朴な視点をこれからも大切にして新しい企画を生み出していってみてくださいね。

文/池田千恵 写真/PIXTA

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