両親に愛されていなかったという気持ちが恨みに変わっていた

 そんな中、大阪出張があり、関西地方に住む友人と久々にごはんを食べました。友人はコーチングを職業としており、話が盛り上がるにつれ、自然な流れで私の当時の私の「気が利かない」問題をコーチングしてもらうことになりました。

 彼女からこう言ってもらえたとき、自分の中の偏見や思い込みがガラガラと崩れていく音が聞こえました。

「でも、ご両親は、言葉ではきちんと伝えていなかったかもしれないけれど、行動で愛を示していたよね? とっても不器用だったけど、行動ではちえちゃんを愛していたよ」

「ちえちゃんがいじめられていたとき、職場に異動願いを出したのはすごいよ。ちえちゃんが今、言葉を伝えることを仕事にしているのは、ご両親が口ベタで愛をうまく伝えることができなかったから、ご両親のような人を増やさないために活動しているんじゃないかな」

 私は「気が利かない」という言葉だけをずっと心にとどめ、気が利かないということは親に愛されていなかったのだ、と関連付け、熟成をし続けてきましたが、私が小さい頃いじめられていたとき、職場に直談判して地方に異動を希望してくれたのもまた両親でした。結局お願いは通らなかったのですが、単身赴任という形でいじめられた学校から転校し、家族が別居するというリスクを背負ってまでも私をいじめから守ってくれたのです。