知らないうちに、ネガティブ情報を発信しているかも

 冒頭の「大変だね」と言われてしまうママですが、実は、私も彼女のことを「大変そうだな」と思っていました。というのも、待機児童の問題や家族での育児分担の問題など、育児にまつわる様々な問題意識についてSNSによく綴っていたからです。だから彼女が「大変よりも楽しいことのほうが多い」と思っていること自体、初耳だったのです。

 実はとてもシンプルな話なのですが、「楽しい」と思っているのなら、「楽しい」と思っていると発信しないと気づいてもらえないのです。つまり、自分では別に大変だと思っていないとしても、「大変だね」と言われるような状況だけを選んで自らが発信してしまっているから、みんなに「大変だね」としか言われないということです。例えば「余裕がないを自虐ネタにしているだけだけど、本当は楽しいんだよ」と思っていたとしても、その裏の意図を自然に気づいてもらうことは難しいのです。

 「意見を述べるときにやってはいけない三つのこと」にて、「察してよ」はあなたのおごり、という話を書きましたが、あなたの心の奥底まで、周囲は分かってくれているはず、と思うのは大きな間違いです。もちろん家族や親友、恋人など、あなたの性格を熟知している人なら分かってくれるかもしれません。しかし、公に発信する場合や仕事で本心とは違う思いを口にしてしまったり、本心を公にしなかったりすると「こんなはずじゃなかったのに」という誤解を生む場合があることを意識していくことが大切だなあと、この一件で感じました。