無能な人に希望のポジションを取られてしまう

 実は子育てに限らず、自分の本当の気持ちを上手く発信できていないために、「こんなはずじゃなかったのに」というもどかしさを感じるケースは少なくありません。

 例えば、会社で希望しているポジションがあるとしましょう。「自分はまだそのポジションを希望する器じゃないから、もう少し頑張ってからじゃないと恥ずかしくて異動希望はだせない」と、コツコツと密やかに頑張っているあなた。そこに、明らかにあなたよりもスキルも経験も劣っていると思われる人が「はい! 私やりたいです!」と高らかに声を上げ、軽やかにそのポジションをさらっていってしまう。そんなことは十分にあり得ることなのです。

 そのときになって「私、本当はそのポジションをやりたかったのです」と伝えても後の祭り。上司や周囲は「え? あなた、そのポジション希望していたの? 何も言ってくれないから知らなかった。だったら早く言ってよ~」と言われてしまうのです。

 せっかく頑張っていたのに、そんな事態になったら悔しいですよね。それでも、結局は「黙っていても周囲は見てくれている」と信じるだけで発信をしてこなかったあなたが悪いのです。厳しいようですが、そういうことは往々にしてあるのです。

 私は、そのようにしてチャンスを失っていく人たちをみると、やるせない気持ちになります。楽しいと思ったら楽しい、欲しいと思ったら欲しい、やりたいと思ったらやりたい、と、きちんと声に出して宣言し、言った後に「言ったからには頑張ろう」と、後からその宣言を追いかけることが、やりたいことを躊躇なくできる道へのショートカットだということを知っているからです。