表舞台に出たいのなら、素直にそう言おう

 どうしてこんなことを言うかというと、私自身が「こんなはずじゃなかったのに」という悔しさを過去に抱えていたからです。

 私は現在、プレゼン、資料作成、思考整理など、「物の考え方、伝え方」について講演や研修活動をしていますが、実は昔、人前が怖く、本番に弱い子供でした。

 心の底では、人前に出たい、本番に強くなりたい、思いを自由に発信したい! という気持ちを常に持っていました。でも、それをうまく伝える術を知らず、失敗が怖くて萎縮していたのです。

●小学校の授業中、演劇の感想を一言言いなさい、と指名されたとき、心に思った言葉をまとめることができず、2~3分無言で立ち尽くしてしまいました。先生はあきらめて、「もういい」と言って私を座らせました。言葉がうまく出てこない、あのときの無力感は今でも思い出すとちょっと辛くなります。
●小学生のとき、学級委員に一瞬推薦されましたが「おとなしいし人前で話せないから千恵ちゃんはふさわしくない」と他の児童が言ったため、推薦を取り消しにされたこともあります。学級委員になる自信はなかったものの、自分で辞退するのと取り消しになるのは大きく違います。そんなことなら最初から指名しないでほしい、と悲しくなりました。(今あらためて振り返ると、それでも私はやりたい! と言わなかった私が悪いのですが)
●中学生のとき、好きな男の子がいましたが緊張してうまく話すことができませんでした。あとで友人に「○○君が、千恵ちゃんのこと、あいつは暗いって言ってたよ」と教えられました。(今考えると、友人もその子を好きで、邪魔したかったのかもしれませんが)言葉を話せないと、暗い、と思われてしまうんだ、ということが分かりました。

 このようなちょっとしたすれ違いから、人前が怖い、誤解される、うまく話せない、というコンプレックスが募り、すっかり引っ込み思案な生活を送っていました。しかし「失敗を人生のネタに変えて前に進む方法」でも述べた、プレゼンでの手痛い失敗から、このままの自分は嫌だ! と心から思い、発信する手法を研究し続けました。その結果、言いたいことを誤解なく伝えられるってなんて素晴らしいことなんだ、と心から思うようになり、そのためのスキルを広く伝えたくて現在に至ります。