3.「念のためおばけ」に気を付ける

 もう一つのポイントは「念のため」を疑うことです。(私は「念のためおばけ」と呼んでいます)

 発信に苦手意識を持っている人は、分かってもらいたいと思うが故に、あれもこれもの情報を「念のため」と詰め込んでしまうことが多い気がしています。しかし、あれもこれも、念のためを繰り返して肥大した情報は、相手の「で、結局何が言いたいの?」の質問に太刀打ちできません

 例えば、相手に最終確認だけをしてもらえばよい資料を、「念のため現段階のものです」と途中経過を添付していませんか? 送られた相手は、最終確認だけすればいいはずなのに送られてきた、未完成の資料をどう扱ったらいいか迷ってしまいます。

 先日もこんなことがありました。取材してもらったインタビュー記事を「途中ですが念のため送ります。最終的なチェックは、上の許可を得てからになります」というメールをもらったのです。

 私の本音としては「私がチェックする段階じゃないものをなぜ、念のため送るのだろうか? 暗にこの方向性でいいのか確認してほしいと思っているのだろうか?」というものだったので、質問メールをしたところ、「今はチェックしないで結構です」という返事が。だったら最初から送らなくてもよかったのでは……じっくり読む時間を取ってしまってムダだった、と思ってしまいました。

 メールの「CC」機能も「念のため」おばけがよく出るものです。「念のためこの人の耳にも入れておこう」と、CCがものすごい人数になっていませんか? CCに入れられたメールを見ていないからといって、CCに入れられた相手を責めることはできません。「CCで入れましたけど」という抗議をするのなら、CCではなく直接相手にメールをすればよかっただけの話です。(ある企業の幹部に聞いた話ですが、CCメールは見ない、と決めているそうです。こういう方は忙しい人は特に多いです)

 このようなミスは「念のため」を疑うことで防ぐことができます。念のためを疑った上で、それでも送らなければいけない、と思ったメールなら、その資料を送った理由と相手にどうしてほしいかを明確に伝えることができるはずです。