「自分軸探し病」になると、行動に制限がかかる

 もちろん、行動の「軸」となるきっかけは、あるにこしたことはありません。しかし、きっかけを探しすぎると「なんとなくそう思う」「やりたいからやる」という、理由や根拠のない行動や発信をしてはいけないと、自らに制限をかけたり、「理由もないのに行動していいのだろうか」と引け目を感じたりする場合があるので気を付けないといけません。このような思考に陥ってしまうと、「きっかけ」を見つけられないせいで結局何も行動ができない、というやっかいな事態に陥るのです。私はこれを「自分軸探し病」と呼んでいます。

 「自分軸探し病」にかかると、何か人生を一変させるような大きなきっかけを待ち構えるというモードに入ってしまい、かえって行動できなくなります。

●私、そこまでの強烈なモチベーションはないしな…

●私はあの人みたいに大変な経験をしていないから、やりたいことはできないかもしれない

 周囲の活躍を耳にしたとき、そんな思いが心に浮かんできたら、「自分軸探し病」にかかりかけていると注意したほうがいいかもしれません。

 実は、自分の「軸」を知る大きなきっかけというのは、目の前にあるときは気付かないもの。振り返ると、あの時そういえば、これがきっかけだったなーと感じるものです。だから、大きな「きっかけ」を待ち構えて行動を制限するのではなく、目の前の出来事にまずは一生懸命取り組むことが、将来振り返ると大きなきっかけにつながっている、ということのほうが多いのです。