「余計なこと」だって言っていい

 発信に苦手意識を持っている人が陥るもう一つの理由に「余計なことを言わないようにしよう」と考え過ぎて、大切なことまでも言えずにいるというものがあります。

 しかし、あなたが考えている、現時点で勝手に思い込んでいる余計なことである可能性も高いことを覚えておいてください。実はあなたの発信を待っている人だって、たくさんいるのです。

 もちろん、本当に「余計なこと」を言ってしまって痛い思いをするかもしれませんが、熟考に熟考を重ねた余計な一言で失敗して落ち込むより、カジュアルに余計な一言を発して、「こういう場面でこういうことを言うと失敗するんだ」と痛い目に遭ったほうが勉強になるし、今後の学びになります

 フットワーク軽く物事に取り組む人、思ったことがばんばん言える人が羨ましい、でも自分はできない、考えがまとまらないし、なんて思っている人こそ、思っていることをグッと心にのみ込まずに、きちんと言葉にしてみましょう。せっかくの優しい気持ち、あふれる気持ちをこらえ続ける必要は、もうありません。間違ってもいいのです。むしろ、間違ったときの傷を浅くするために、早いうちに発信してジャブを打つのです。

 そのためのさまざまな方法を、42回にわたり書かせていただきました。よかったらまた折に触れて読み直し、あなたの発信力の助けになることができたら、これほどうれしいことはありません。

 あなたが心から感じる思いを、素直に言葉にして発信することができるようになったとき、必ず新しい扉が開かれます。扉の先にある素晴らしい世界を、どうぞこれから私に聞かせてください。

 長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。

発信することができるようになれば、世界はぐんと広がります (C) PIXTA
発信することができるようになれば、世界はぐんと広がります (C) PIXTA

文/池田千恵 写真/PIXTA

プレゼンの仕方で損してない? せっかくの実力を埋もらせないで。
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