勝手に思い込んで勝手に心配したり怒ったりしていませんか?

 私が、「こう思われるんじゃないか」という心配や思い込みをぶつけて、周囲に矯正してもらわないと、心までかたくなになってしまうということに気づいたのは、夫と結婚する前の、ちょっとしたやりとりからでした。

 元々夫は結婚前から穏やかで、ケンカをするということがありませんでした。私は、ケンカをして本音をぶつけ合うことが円満の証、という思い込みがあったのでケンカをふっかけるのですが、ケンカにならないのです。そして、ケンカにならないことがちょっとしたストレスになっていたことがありました。

 私はもともと、自分の考えを最初に発信せずにガマンするタイプの人間でした。ガマンにガマンを重ねた結果、爆発してやっと本音をいう、ということでしか、本音を伝えられなかったのです。つまり、「ガマンして爆発した言葉こそが本音」だから、本音を出すためはケンカをするしかないと思い込んでいたのです。

 その思い込みが悪い方に熟成され、私はいつのまにか「腹を割って話すということ、イコール、人の悪口を言うこと」という思い込みができあがっていました。自分が爆発することでしか本音を話せないから、相手もきっと私と同じ気持ちをもっているはず、と考えていました。

 しかし夫には、ガマンしていることや、私に対する不満がもともとないので、この思い込みが通じませんでした。夫に「なんで、不満がないのに不満を言わなきゃいけないの?」と言われたとき、自分の思い込みに気付きハッとしました。

 このとき、視点を転換して、偏りを矯正してくれる人がいるありがたさを感じました。また、世界は思ったよりも優しいものなんだな、ということに気づきました。