小さいときに親や先生に言われて悔しかったこと、悲しかったことを思い出し、書き出してみる

 自分の「こうでなければいけない」という思いこみは、実は小さいころに親や先生からすり込まれたことが多いものです。例えば、給食のときに食べるのが遅かったり、食べるときに騒いだりしたとき「他のお友達はみんな食べ終わっているのに、●●ちゃんだけよ」などとずっと言われ続けていれば、「他のお友達と同じ行動をしなければ怒られる」「みんな一緒でないといけない」という考えがすり込まれてしまうことでしょう。

 前述の彼女には直接質問できなかったのですが、もしかしたら、彼女は小さい頃周囲から「落ち着きがない」「もっと一つのことに集中しなさい」「どうしてすぐ飽きるの?」などと言われてきたのかもしれません。

 この書き出しは、何も「私は昔、親や先生にこんなことを言われたせいで、今うまくいかないんだ」と、自分の現状を過去の原因に結びつけて怒りをぶつけるためにするものではありません。過去に傷ついた言葉を、あえて大人になった今、書き出すことで客観的に見つめ、果たしてそれは正しかったのかな? と検証するために行うのです。

 小さいころ言われた親や先生の言葉は絶対のものですが、実は親も先生も、その時の気分で何気なく言っていたり、親や先生自身も、小さいころに教えられた価値観を引きずっていたりするものなのです。だから、大人になった今、改めて書き出すことで、「そんな言葉に引きずられてたんだ」と、ばからしく思って考えが変わるかもしれませんよ。

 「自信がない」と前に進めないなんてもったいない話です。「自信がない」と思っているということは、きっとあなたには、なりたい理想の姿があるはずです。「自分見積もり力」をきちんとつければ、スタートとゴールを正しく設定し直すことができるので、心からわき出る自信とともに理想の姿にすすめるようになりますよ。その姿を見ることができるのを楽しみにしています。

文/池田千恵 写真/PIXTA

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