究極の「ヴィンテージ干しいも」

 スイーツの世界でも熟成ブームの波が押し寄せている。

 注目したいのが、干しいも。食物繊維、鉄分、カリウムなどが豊富で、実は小腹がすいたときに食べるのにぴったりな冬の和スイーツだ。

「熟成平ほしいも」(各100g入り1000円~、5箱セット7300円)。箱の数字は熟成期間を示している。

 干しいもは、一般的に秋にサツマイモを収穫してから完成まで数カ月で出荷されるが、1年以上熟成させて商品化された干しいもがある。「熟成干し芋 達磨庵」の「熟成平ほしいも」で、20年もの研究を重ね、昨年6月に販売開始された。

 スタイリッシュなパッケージに入っている「熟成平ほしいも」は、1年、2年、3年、5年と、熟成期間の違う4種類とさらに出来の良かった年の“スペシャル”を含め、5種類を揃えている。製造過程は、無農薬の畑を管理することから始まり、自家製たい肥を使用した土壌の基礎から品質の良いサツマイモ作り、干しいもになるまでの工程、熟成にいたるまで多岐にわたる。

スライスして熟成された干しいも。熟成年数を重ねるごとに糖化していき、甘味や粘度が増す。

 干しいも作りで大切なのは、サツマイモのでんぷんを甘味のある糖に変えるプロセス。サツマイモを貯蔵する段階から温度管理を徹底し、蒸し上げる際にもその年の出来や品種によって温度や湿度を調整するが、この調整が大変だという。一般的に、屋内での機械乾燥が約2日間で終了するところ、同社では自然環境下で1週間かけて天日干しをする。人力で行うのは苦労が絶えないが、時間をかけてこそ、水分がゆっくりと抜けていき、自然の甘みが増していくそうだ。

 1年熟成の干しいもは軟らかさがあり、ねっとり感はあるもののさっぱりとした甘さ。熟成年数が増えるとともに軟らかさが増し、コクが広がっていく。5年も経つと、ツヤはなくなっていくが、その反面コクに深みが増してくるのだ。「ヴィンテージワインのように熟成された干しいもを楽しんでほしい」という干し芋マイスター福井保久さんをはじめとするスタッフのみなさんの想いが、この干しいもに詰まっている。まさに日本究極のエイジングスイーツといえるだろう。

7日間熟成のしっとりマカロン「七夜(ななよ)マカロン」

 なんと、フランス菓子のマカロンにも、熟成させて商品化させているものがある。賞味期限が短そうなイメージのスイーツであるが、冷蔵で熟成させることで濃厚さが増すという。

「七夜マカロン」(15個入り3564円税込み)。フランボワーズやチョコレートなどフレーバーも豊富な詰め合わせ。

 北陸新幹線の開通により、一躍注目を浴びている石川県金沢市。観光名所の兼六園もある寺町エリアに“金沢じわもんスイーツ”を提供している洋菓子店「Un Deux(アン・ドゥー)」がある。“じわもん”とは、金沢弁で「地物」を意味する言葉。同店の熟成マカロン「七夜マカロン」が人気となっている。ネーミングが表しているように、7日間熟成させたマカロンだ。

 地元の塩を使用した「能登塩キャラメルマカロン」をはじめ、フランボワーズ、チョコレート、レモン、抹茶の5種類がある。

 同店では当初、一般的なマカロンを販売していた。しかし、三代目店主の吉岡栄一さんは、先代から受け継いだマカロンのサクサクとしたメレンゲ生地としっとりとしたガナッシュクリームの食感の違いをさらに調和させようと研究を重ね、熟成に行きつき、10年ほど前に熟成マカロンを完成させたのだという。

 吉岡さんは、冷やすことで生地とクリームのしっとりとした一体感を追求した。1週間を目途に5℃に設定した冷蔵庫に入れたところ、7日目で納得のいく一体感が生まれ、濃厚さが増したという。このしっとりとした食感は、女性だけではなく、男性もクセになるかもしれない。

 ワインやチーズなどの昔からある熟成フードとは違った可能性が、このブームで証明されたのではないかと思う。味だけではなく食感の違いも食べる楽しみの一つとして、さらなる熟成の魅力にハマってみてはいかがだろう。

※価格は特記がない限り税抜きです。