日頃から自分の体の痛みに敏感であることは大切

 2015年2月末、私は2年半ぶりに人間ドックに行きました。前回受診時には子宮内膜症が見つかりましたが、婦人科で「軽度の子宮内膜症なので経過観察」と言われ、そのまま過ごしていたのです。

 久々の人間ドック。そのとき、内側から押し上げられるような胃の不快感や腰痛お腹の張りがあったため全身検査を選択しました。お腹の張りはや運動不足が原因かしら!? でも、月経以外の時も下腹部に鈍痛があるし……と、不安な気持ちを抱えていたのです。経過観察の子宮内膜症も心配だったので、婦人科検診もお願いしました。

 内科の問診で胃の不調や腰痛を訴えても問題なしと言われ、婦人科の超音波検査を受診では、医師にまた「卵巣が腫れていますね」と言われ、いつもと同じか……と思っていたら今回は続きがあったのです。

「だいぶ腫れています。それから8cm以上の大きな腫瘍ができています」

 医師が見せてくれたエコー画面の真ん中には、黒いいびつな塊がありました。驚くと、医師はおそらくチョコレート嚢腫(のうしゅ)だと教えてくれました。チョコレートなんて可愛らしい名前なのに、これが破裂したりねじれたりすると大変なことになると、すぐに婦人科受診を勧められ、紹介状を渡されました。辛い腰痛の原因はなんとこの嚢腫。お腹の張りや胃の不調も、この8cmの嚢腫(後に10cm位あったことがわかりました)が犯人だとわかったのです。

 4日後、婦人科を受診すると、婦人科の医師から腹腔鏡手術で腫瘍や周囲の器官、卵巣や卵管、付属部分を取りましょうと言われました。そのとき、もう一つの卵巣をどうするか聞かれましたが、即答できない私がいました。

 一瞬、「卵巣を取ると赤ちゃんが産めなくなる」ということが頭をよぎったのです。私は結婚して出産をしていましたが、卵巣を全て取ってしまうのは悩みました。卵巣を取り月経がなくなってしまうことが、女性ではなくなるような気がしたのです。もし出産をしていなかったら、卵巣を残したいと思うでしょう。でもそれは、腫瘍が悪性でがんだった場合、大きなリスクとなります。自分の命か将来の赤ちゃんの命かの選択は、とても難しいこと。経験した私が言えることは、予防及び早期発見がなにより大切だということです。

 次の婦人科受診時には「非常に残念ですがMRI検査の結果、腫瘍は悪性の疑いがあります」と医師から告げられました。この瞬間から医師の説明は、私の耳には何にも入ってきませんでした。頭が真っ白になると言いますが、心ここにあらず。泣いてもしょうがないのに、堰を切ったように涙が溢れ出て止まりません。頭の中は、どうして私が? ……こればかりでした。

 2日後、大学病院でレントゲン写真を見た医師から「開腹しないと腫瘍は悪性かわからないが、腹水もないのでがんでも初期」と告げられ、少し救われた気がしました。