先日、知人の女性(29歳)が結婚しました。東大(理系)→東大大学院→超大手外資系企業、という経歴のエリート美女です。とはいえ、ギラギラした上昇意欲があるわけではなく、「母親と同じく優しい専業主婦になるのも悪くない」という価値観の持ち主。僕も気楽に話すことができます。ただし、経歴が立派すぎるので日本人男性からは敬遠されることが多く、歴代の恋人はすべて外国人なのだそうです。

 そんな彼女が現在のダンナさんと出会ったのは、学生時代の友人が開いたホームパーティ。参加者の9割は東大卒なので「学歴逆差別」のような局面はなく、のんびりとワインを飲んで夜遅くまでおしゃべりを楽しんだそうです。医師のダンナさんとは海外の専門誌を購読している者同士であることから意気投合。お付き合いから結婚へと発展しました。

 ダンナさんは好奇心や成長意欲は強いけれど海外経験はありません。海外生活が長く、英語も堪能な彼女に好意と敬意を持って接してくれているようです。エリート層の男性の中には、「尊敬できて高め合える女性でないと一緒にいる意味がない」と信じている人がたまにいますよね。彼女の場合は、そんな男性たちが「得意分野」だったのだと思います。

 僕には大きなホームパーティをする家がありませんが、親しい飲食店に協力してもらって読者交流イベント「スナック大宮」を不定期開催しています。僕の文章を読んでいて、お店にまでわざわざ足を運んでくれるのは、上記の「上昇志向が強すぎないインテリ系女性」がほとんどです。

 このイベントはお見合いパーティではないので女性ばかりでも構わないのですが、酒席は男女混合のほうが華やかに盛り上がるというのが僕の意見です。あまりに女性客が多すぎる場合は、友人や仕事仲間の男性に声をかけることもあります。

 そのうちの一人が、幼馴染の川口康太郎くん(仮名、39歳)です。大学卒業後に中央省庁に入り、真面目に働いています。鉄道をはじめ陸・海・空の道に異常な関心があるというユニークな感性の持ち主です。飲みに誘うと、ですます調のちょっと堅くて丁寧な文面で「ぜひお会いしましょう」というメールが返って来ます。人懐こくていいヤツなのです。でも、控えめな性格と転勤が多いことが重なって長年恋人がいません。

 そんな川口くんも最近は結婚願望が高まっているようで、男性は公務員限定のお見合いパーティなどに興味を示しています。公務員狙いの女性が集まるという意味では「得意分野」かもしれませんが、逆に言えば周囲はライバルだらけですよね。積極性のない川口くんが成果を出せるかな……。我がスナック大宮のほうがいいと思うよ。

 地味だけど礼儀正しくて、仕事熱心かつ遊び心もある川口くん。僕の密かな狙い通り、スナック大宮ではプチモテ期を経験したのでした。スナックの終了後に行ったアンケートで、女性客2人から「いいな、と思いました」と好意を示してもらったのです! いずれもちゃんとした女性です。僕は川口くんが大好きなので、お見合いを前のめりでセッティングしてしまいますよ。続きはまた来週!

イラスト/つぼいひろき