よい睡眠で健康になるために

 私たちが仕事を続けていくうえで、良質な睡眠が大切なことは言うまでもありません。厚生労働省健康局は、「健康づくりのための睡眠指針2014」において睡眠12箇条を示しています。この指針に基づき、よい睡眠を取るための生活習慣について確認してみましょう。

*朝食の重要性

 日本人の成人を対象にした横断研究では、睡眠-覚醒リズムが不規則である者は、朝食の欠食頻度が多い、朝食の摂取量が少ない、昼食や夕食の摂取量が多い傾向があることが示されています。心と身体を目覚めさせ、元気な1日を始めるために、朝食は重要といえるでしょう。

*睡眠薬代わりの寝酒はNG

 日本人は寝酒をする頻度が高いことが幾つかの疫学研究で示されています。世界10か国を対象とした横断研究では、睡眠のためにアルコールをとる者の割合が10か国平均19.4%であるのに対し、日本人は30.3%と高く、また日本人を対象とした横断研究では、寝酒を週1回以上する男性は48.3%、女性は18.3%となっています。飲酒は短期的には眠気を強くする一方、睡眠前半のレム睡眠は減少し、睡眠全体の中で眠りの浅いノンレム睡眠が特に睡眠後半に増加。長期的には、睡眠が量・質ともに悪化させることが示されています。

*寝る前のカフェインや喫煙は控える

 カフェインは覚醒作用を持っており、コーヒー、緑茶、栄養・健康ドリンク剤などに多く含まれています。カフェインの効果は3時間程度持続することが確認されていますので、夕方から就寝前のカフェインは控えましょう。また、たばこに含まれるニコチンも比較的強い覚醒作用があるので、就床1時間前の喫煙は避けましょう。

*自分にあったリラックス法をみつける

 スムーズに入眠するためにはリラックスるすることが大切。就床の少なくとも1時間は何もしないでよい時間を確保することが有効といえます。睡眠時間や就床時刻にこだわりすぎて、眠くもないにもかかわらず無理に眠ろうとするとかえって寝つきを悪化させることに。およそ30分以上寝床で目が覚めているようなら、一度寝室を離れるなどして気分を変える工夫もポイントです。

 最近よく眠れない、と気になっている方は、悪しき生活習慣を見直し、質の高い睡眠がとれるように工夫してみてはいかがでしょうか。

写真/PIXTA