出勤率の算定に注意

 出勤率は、「出勤した日÷全労働日」で算出します。全労働日とは、「算定期間の総歴日数から就業規則等で定める所定休日を除いた日」、つまり所定労働日をいい、同じ会社でも職種が違えば変わることもあり得ます。なお、遅刻や早退した日は、出勤日数に含めてカウントします。

 実際には休んでいたものの、出勤したものとして取り扱うことになっている期間がきちんと定められています。それが、次の4つです(労働基準法第39条8項)。

*出勤したものとして取り扱う期間
(1)業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日

(2)産前産後の女性が労働基準法第65条の規定により休業した日

(3)育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日

(4)年次有給休暇を取得した日

 なお、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合等の解雇日から復職日までの不就労日のように、使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために働けなかった日については、出勤日にも全労働日にも含めて取り扱うように見直されています。

 一方、全労働日から除外される期間は、以下のとおりです。

*全労働日から除外される期間
(1)休日労働をした日

(2)使用者の責めに帰すべき事由による休業日

(3)正当なストライキによる不就労日

(4)代休取得による不就労日

(5)公民権行使による不就労日

(6)代替休暇取得による不就労日

 さらに、新たな通達では、震災等の天災事変による「不可抗力による休業日」等も全労働日に含まれないものとされています。

 これらは、あくまでも法律や通達ベースでの考え方です。会社には年次有給休暇以外にも、慶弔休暇や介護休暇など、様々な休暇が定められていることでしょう。

 それぞれの休暇を取ったときに、その期間を出勤率に含めるか否か、また出勤率算定の分母である全労働日から除外するか否かは、会社が就業規則等で独自のルールを設けていますので、きちんと計算したいときは、自社のルールを確認してください。

 では、私傷病により休職をしたときはどうなるのでしょうか? これも、会社のワークルールによって取り扱いが異なります。私生活上のケガや病気によって休職した期間については、必ずしも出勤したものとみなしたり、全労働日から除外したりする義務までは事業主に課されていません。

 したがって、私傷病休職期間が長引くことによって、年次有給休暇の算定において、出勤率が8割未満となってしまうケースもないとは言えません。休職制度そのものが職場になく、単に欠勤が続いてしまった…というケースもあるでしょう。

 冒頭の初枝さんも、昨年病気で年次有給休暇を使いきっているということ。さらに私傷病休職の期間が長引いたことによって、出勤率算定の8割要件を満たせなかった、と考えられます。

 しかし、これからの1年、通常どおりに働き続ければ、来年の年次有給休暇は問題なく付与されるでしょう。たとえば、現在3年6ヵ月働いていて、14日がもらえなかったとしても、次年度は16日もらえることになります。出勤率の算定は、前年の1年間でみますが、継続年数としてカウントするときは、雇い入れ日から数えます。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA

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