こんにちは。「ワークルールとお金の話」の社会保険労務士 佐佐木由美子です。会社を退職して、次の転職先が決まるまでの間、国民年金を未納していた、というお話を時々耳にします。未納期間が長くなることによってどのようなリスクがあるか、考えてみましょう。

忘れがちな退職後の手続き

 会社を退職後、すぐ次の仕事が決まるだろう、と年金関係の手続きは深く考えない人は多いのでは? 一方で、保険証は病気になったときのお守りとして、一応確保しておきたいと、健康保険の手続きを気にされる人は多いようです。

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 「年金」というと、老後の生活を補ってくれるもの、というイメージから、若いときは特に「自分とは関係ない」と思ってしまいがちです。まして、日々の生活にやりくりしながら、「毎月年金保険料を支払っていく余裕などどこにあるの?」というご意見もあるでしょう。

 給与であれば、有無を言わさず天引きされてしまうので、仕方ないと思えるかもしれません。しかし、自ら支払うとなると、ついつい……という声も。単純に、どのような手続きをすべきか知らなかった、という人もいます。

年金が果たす三つの役割

 年金には、三つの役割があります。ひとつは、みなさんがよくご存知の老後の生活保障。実はそれ以外にも見逃せない役割があります。それが、障害や死亡といった不慮の事態を補うものです。

 病気やケガで一定の障害が残った場合に支給されるのが障害年金。また、生計を維持している働き手が死亡したときに、残された遺族に対して支給されるのが遺族年金です。国民年金に加入していた自営業者であれば、「障害基礎年金」と「遺族基礎年金」、厚生年金に加入していた会社員であれば、それらに加えて「障害厚生年金」と「遺族厚生年金」が対象となります(ただし、それぞれに一定要件あり)。

 いざというときに頼りになるセーフティーネットがあるものの、実は誰でもこうした保障が受けられるわけではありません。国民年金保険料の滞納があると、障害年金や遺族年金が受けられない場合があるのです。

 障害の場合は初診日、死亡の場合は死亡日の月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2未満の場合は、原則として障害・遺族年金を受けられません。

 ただし、初診日または死亡日の月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ、支給が受けられる特例が設けられています(平成38年3月31日まで)。なお、初診日に65歳未満であった場合に限られます。

 国民年金保険料の未納期間が長くなると、老後に年金がもらえないばかりか、障害・遺族年金が受けられなくなるリスクが高まるのです。これはあまり知られていませんが、いざというときに、雲泥の差が出ます。

 保険とは、将来起こるかもしれないリスクに対し一定の保険料を負担し、万一の事故に対して備える制度ですから、元気でいれば何ら影響はないかもしれません。しかし、誰しも絶対に病気やケガをしない、とは言いきれませんよね?