割増賃金が出ない場合も

 この場合、割増賃金が出るケースと出ないケースの2つが考えられます。

 労働基準法において、割増賃金の支払い義務が生じるのは、法定労働時間を超えて労働した場合、法定休日に労働した場合、深夜時間(22時~翌5時)に労働した場合となっています。

 法定労働時間とは、原則として1日あたり8時間、1週あたり40時間となります。結華さんは終業時刻の18時から、21時まで働いていますが、半休を取っているため、実際に働いた時間のトータルは7時間。つまり、1日の法定労働時間では超えていないことになります。ポイントは、実労働時間で考える、という点です。

 このようなケースでは、2割5分以上の割増賃金を支払わなかったとしても、違法とはなりません。ただし、3時間分の労働は、通常の給与に含まれていませんので、単純に時間給換算した3時間分の給与をもらえる権利はあります。たとえば、基本給を時間換算したときに1000円だとしたら、3000円分は別途時間外手当としてもらえることになります。

 ちなみに、フレックスタイム制で働いている場合は、年次有給休暇を取った時間は労働時間とみなしてカウントします。ただし、1日単位ではなく、清算期間中の総労働時間で判断されることとなりますので、計算方法の違いにご注意ください。

 一方、「終業時刻を超えて労働した場合は割増賃金を支給する」といったようなワークルールが会社にあれば、終業時刻を超えて働いた3時間分については割増賃金が支給されることになります。割増率を2割5分と定めている会社の場合、先の結華さんのケースでは、3750円の支払いとなります。

 塵も積もれば山となる…ではありませんが、ちょっとした違いで給与としてもらえる金額に差が出てくるのです。この決め手となるのが、それぞれの会社のワークルール。「自分の給与はどのように計算されているのだろう?」と疑問に思うときは、自社の賃金規程をチェックしてみてください。意外な発見があるかもしれませんよ。

文/佐佐木由美子

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