こんな退職理由が当てはまることも

 「特定受給資格者」とは、倒産・解雇などの理由により再就職をする時間的余裕がなく、退職を余儀なくされた方を言います。必ずしも倒産・解雇とは限らず、次のような退職理由が該当することもあります。

・ 労働契約時に明示されていた労働条件が事実と著しく相違したため

・ 給与(退職手当を除く)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったため

・ もともと支払われていた給与と比べ85%未満に低下した(または低下することとなった)ため。ただし、低下の事実について予見し得なかった場合に限る

・ 妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じられなかったため

・有期労働契約の更新により3年以上引き続き雇用された場合において、その労働契約が更新されなかったため

 上記以外にも、特定受給資格者となり得る理由がありますが、該当の有無を決定するのは所轄ハローワークです。詳しくは、お住まいの地域のハローワークに確認されてみることをおすすめします。

新しい一歩を踏み出すとき、失業手当の知識が役立ちます (C) PIXTA
新しい一歩を踏み出すとき、失業手当の知識が役立ちます (C) PIXTA

 また、有期労働契約を締結していた人が雇い止めされた場合についても、2017年4月1日から失業手当の給付日数を倒産・解雇などの場合と同等にすることが、暫定措置として5年間実施されることも決まりました。

 労働契約法では、2013年4月1日以降において、同じ使用者に有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合、労働者の申し込みにより無期労働契約への転換ができることになっています。こうしたルールもチェックしておきましょう。

 倒産・解雇などの理由で仕事を辞めざるを得ないとき、失業手当の給付日数が一部拡充されることは、現実に即した対策といえます。しかし、30~45歳といえば、まさに働き盛りの世代。それだけ再就職は容易ではない状況であることを踏まえながら、今後の仕事や働き方について考えていきたいものです。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA