新天地での転職活動、その前に

 「転勤」という問題が、ワークライフバランスに大きな影響を与えています。今後、テレワークなどのように柔軟な働き方や転勤に関する人事管理の在り方が変わっていけば、こうした問題について別の選択肢も考えられるかもしれません。

 萌奈美さんは、結婚後も働くことを希望しているので、転職活動をしていくわけですが、ここで一つアドバイスがあります。それは失業手当(正式名称は「基本手当」)に関すること。

 自己都合で会社を辞めるとき、雇用保険の被保険者期間において、退職前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上あれば、失業手当がもらえます。ただし、すぐにもらえるわけではなく、7日間の待期期間の後、3カ月の給付制限期間を経て、支給されることになっています。

 ところが、自己都合退職であっても、正当な理由のある自己都合により離職したとしてハローワークから「特定理由離職者」と判断された場合は、3カ月の給付制限期間を受けることなく、速やかに失業手当がもらえる仕組みがあります。

 萌奈美さんのように、結婚に伴う住所変更で、通勤不可能又は困難となったことにより離職した場合も、この特定理由離職者に該当する場合があります。該当するかどうかを判断するのはお住まいの住所を管轄するハローワークです。

 失業手当をもらうのに、3カ月の給付制限を受けるか、すぐにもらえるかは大きな違いです。会社が離職票を作成する場合、個人的な退職理由を細かく記載するより、「一身上の都合」等と記載されることは多いもの。ハローワークで手続きを行うときは、離職票に自ら記載する「具体的事情理由欄」にきちんと理由を書くことがポイントです。