失業手当を「もらわない」という選択肢もある

 すぐに転職先が決まってしまうような場合は、逆に失業手当をもらわない、という選択肢もあります。これには、意外と思われるかもしれませんが、女性の場合、転職後すぐに妊娠するケースも考えられます。その場合、育児休業を取って「育児休業給付金」をもらうためには、休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上あることが必要です。

 転職後間もなくして妊娠すると、この要件を満たせない場合もあります。しかし、前職の被保険者期間を通算することで、要件をクリアできることがあるのです。

ライフステージの変化を視野にいれておくと、事前に準備できることが増えます (C) PIXTA
ライフステージの変化を視野にいれておくと、事前に準備できることが増えます (C) PIXTA

 退職後に、失業手当の受給資格の決定を受けていなければ、前職の被保険者期間を通算することができます。通算するには、被保険者であった期間に1年を超えて空白がないことが必要です。ハローワークで求職の申込みをして受給資格の決定を受けてしまうと、失業手当をもらっていなくても、離職日以前の期間は通算できません。

 こうしたケースは多くはありませんが、退職時に失業手当の手続きを行わず、被保険者期間を通算できたことで育児休業給付金をもらえたという事例もあります。失業手当の場合、自己都合で退職すると、働いていた期間が10年未満で給付日数は90日分。一方、育児休業給付金は、子が1歳になるまで育休を取っていた場合は約10カ月もらえます。

 ケースバイケースですが、こうした先々のことも視野に入れながら、どのように行動するのがベストであるか、自分自身で考えてみることは大切といえるでしょう。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA