「退職日」はトータルで考えよう

 月末退職と思っていたところ、あえて1日前倒しする。もらえる給与だけでみると、この方法はおトクなように見えます。健康保険証が使える日も1日しか変わりません。でも、それだけで退職日を決めてしまうのは、ちょっと早計かもしれません。

 退職後の社会保険を考えてみましょう。例えば、5月30日で退職してすぐに転職しない場合は、お住まいの市町村で、国民健康保険と国民年金の手続きをするのが一般的ですが、加入するのは5月31日から。つまり、5月分の健康保険料と国民年金保険料がかかってしまいます。給与で天引きされなくても、結局5月分の社会保険料は発生します。

 それならば、末日退職として5月分を給与天引きされたとしても、金額は違うものの、それほど損とは言えません。まして、会社側が健康保険と厚生年金保険料の半分を負担してくれるわけですから、将来の年金額を考えれば、1カ月分であっても多いに越したことはありません。

 目先の利益を取るか、長い目で考えてみるか、それは個々人の判断によります。両方のメリット・デメリットを考慮したうえで、慎重に退職日を決めてください。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA

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