正社員になったら、労働条件はどう変わるのか
先日、紹介予定派遣から正社員になることが決まったという祥子さんから、「正社員になると、労働条件がどう変わるのか知りたい」と相談がありました。
そのひとつが年次有給休暇です。祥子さんの場合、派遣期間は6カ月、契約期間満了日の翌日から正社員になることが決まっています。紹介予定派遣の期間では、毎日正社員と同じようにフルタイムで働いていましたが、年次有給休暇はゼロ。そこで、「正社員になったら、いつからお休みがもらえるのか気になる」ということでした。
法律では、週5日勤務で6カ月継続して勤務し、出勤率が8割以上あれば、10日間の年次有給休暇を付与することになっています。祥子さんは紹介予定派遣で働いている期間がちょうど6カ月ですから、その間については年次有給休暇がないとしても仕方ありません。
では、正社員になったら、どうなるのでしょうか? 正社員になった日から、すぐに10日間もらえるのでしょうか?
職場が同じでも条件が違う?
会社によって、年次有給休暇の規定は独自のルールがありますが、法律通りに考えた場合、祥子さんは残念ながら正社員になったその日から年次有給休暇がもらえるわけではありません。同じ職場で6カ月以上働くことになるのに、なぜなのでしょうか?
その理由は、祥子さんの場合、働く職場は同じであっても、事業主が異なるからです。派遣期間における事業主は派遣会社でしたが、正社員として雇用されるときは、派遣先であった企業に変わってしまいます。事業主が異なると、継続勤務したとはみなされないため、こうした問題が起こってしまうのです。
ただし、紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇については紹介予定派遣期間を勤務期間に含めて算入することが特約で定められているような場合は別です。どのような契約になっているかによって、年次有給休暇がもらえるタイミングも変わってきます。
ちなみに、派遣社員の場合に、1カ月や3カ月といった短期間の雇用契約であっても、同じ派遣会社からの仕事を6カ月以上継続していれば、きちんと年次有給休暇が与えられます。
もし、紹介予定派遣ではなく、もともとアルバイトや契約社員として入社して、その後正社員に切り替わるような場合は、入社日から遡って勤続年数をカウントし、年次有給休暇を付与することになります。それは、雇用形態が変わっても、事業主が同じだから。
働き方を考えるとき、労働条件についてもしっかりと確認をしておきましょう。
文/佐佐木由美子 写真/PIXTA
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