10年あれば何でも大丈夫? 見落としがちな点

 受給資格期間が10年に短縮されることで、初めて年金の受給権が発生し、救済される方は全国で約64万人にのぼるといわれていますが、あくまでも老齢年金に限ったこと。年金には、老齢以外にも、障害を負ったときにもらえる「障害年金」や、一家の働き手が亡くなったときに生計維持されていた家族が受け取る「遺族年金」もあります。

 今回の資格期間の短縮は、老齢年金が対象となるため、遺族年金の支給要件(資格期間が25年以上など)や障害年金の納付要件については、これまで通り変更はありません。10年あれば何でも大丈夫、というわけではありませんので、その点はご注意いただきたいと思います。

 年金の資格期間についてお伝えしてきましたが、いざ自分が何年くらいの資格期間があるか聞かれても、なかなか即答できる方はいないでしょう。これまでの加入履歴に不安がある方は、「ねんきんネット」を利用すれば履歴チェックを行うことができます。スマートフォンからも検索できますので、一度試してみてはいかがでしょうか。

 なお、老齢年金の資格期間が10年以上25年未満で、今回の改正により受給資格を満たす該当者には、黄色い封筒で日本年金機構から年金請求書や手続きの案内に関する封書が送付され始めています。封書が届いても請求をしなければ年金をもらうことはできませんので、ご家族や親族で思い当たる方がいれば、そのままにせず、確認することをおすすめいたします。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA