私用メールの問題点

 一般に、職場における業務中の私用メールは、就業規則によって禁止されているケースが多いといえます。職場における私用メールの送受信は、どういうことが問題となり得るのでしょうか?

 まず、就業時間中にプライベートなメールのやり取りをしているということは、職務専念義務に違反する行為に該当します。そして、私用で会社の施設を使っていることから、企業秩序違反行為にもあたります。服務規律で禁止されているにも関わらず、こうした行為が明らかになったときは、懲戒処分を受けることが十分に考えられるので、注意が必要です。

 仮に、メールの内容が上司を批判するようなものであれば、個人の名誉棄損にもなり得ますし、会社の信用失墜、企業秘密の情報漏えいなどに該当する場合は、それ自体が別個の懲戒処分事由ともなり得ます。

 職場における私用メールの送受信を理由として、懲戒処分の効力が争われた裁判例は、これまで幾つもあります。それらの傾向としては、職務専念義務違反、企業秩序違反が問われる一方、職務の遂行に支障が出るほどのメールの頻度であったか、内容はどのようなものであったか、といった点に着目されています。

 業務中の頻繁な私用メールや、仕事と関係のないサイト閲覧はもとより、インスタグラムやフェイスブックなどSNSへの頻繁なプライベート投稿も仕事中はNG。たとえ自分のスマートフォンから情報を発信していたとしても、勤務時間中は職務専念義務があることをお忘れなく。

 私用メールの数が少なければ、会社にバレなければいい、というものではありません。チームで仕事をしているわけですから、1人の業務が滞ってしまうことで、全体の稼働力も低下しかねません。

 冒頭の景子さんがこれからも気持ちよく仕事をするためには、沙知さんに業務中のジャニーズチェックや頻繁な私用メールはルール違反であること、そして就業時間中は仕事に集中しようと勇気を出して伝えることです。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA

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