改正のポイントをチェック

 2017年10月1日から改正施行される育児・介護休業法の目玉は、上述の育休が最長2歳まで再延長できることですが、それ以外のポイントもチェックしておきましょう。

【育児休業制度等の個別周知】

 事業主は、社員やその配偶者が妊娠・出産したこと、または家族を介護していることを知った場合に、社員本人へ育児休業や介護休業等に関する定めを個別に周知する努力義務が課されました。

 平成27年度「仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)において育児休業を取得しなかった理由を尋ねたところ、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから」と回答した人の割合が女性正社員は30.8%、男性正社員は26.6%にのぼりました。

 職場の雰囲気で育児休業の取得を諦めることのないように、対象者へ個別に育児休業中やその後の待遇について周知したり、勧奨したりすることは、とても心強い後押しになることでしょう。

【育児目的休暇の新設】

 育児休業以外に、子どものために会社を休める制度としては、「子の看護休暇」があります。しかし、これは主として子どもが病気やケガをした場合等に利用するもので、入園式などのイベントには利用できません。

 そこで、特に男性の育児参加の促進を図るために、就学前までの子どもがいる社員に、育児に関する目的で利用できる休暇制度を創設することを企業側へ課しました。ただし、これは努力義務となるため、どのような制度となるかは会社によって異なります。

 仕事と育児の両立は、女性ばかりでなく、男性にとっても課題です。働きながら、積極的な子育て参加が進むように、私たちもこうした改正内容をキャッチアップして、両立しやすい職場となるように働きかけていくことが大切といえるでしょう。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA