役割は変化していく

 アラフォー世代ともなると、熟練したこれまでの技術やノウハウを後輩たちに教え引き継ぎ、サポートする立場へと役割が変化していきます。自分に与えられたミッションもこなしつつ、人を育てていくことは決して容易なことではありません。

 成果主義によって本人の成果ばかりが強調されてしまうと、自分の業務以外に育成を担うのはあまりにも荷が重い、という意見もあるかもしれません。

 個人の業績も大切ですが、職場は基本的にチームで動いています。組織としての力が底上げできれば、その成果は自分にも返ってくる、と大きな視点で捉えて、育成やサポートに積極的に関与されてみるのはどうでしょうか。

 管理職の立場となれば、部下のマネジメントは必須ですが、非管理職であっても、人を育てていくという視点は大切だと思います。特に、アラフォー世代ともなれば、そうした役割が求められてくるでしょう。

ライフ・サイクルと発達課題

 発達心理学者のエリクソン(E.H.Erikson:1902~1994年)は、人間の精神的発達について、人生を8段階に区分し、それぞれの段階には自我の発達課題があると指摘。人は各ステージにおける課題を克服しながら生涯をかけて発達する存在であるとしました。

 8段階のライフ・サイクルは以下のように分かれており、各段階に応じて課題があります。

乳児期(0~1歳半)

幼児期初期(1歳半~3歳)

幼児期後期(3歳~6歳)

学童期(6歳~13歳)

思春期・青年期(13歳~22歳)

成人期初期(22歳~40歳)

壮年期(40歳~65歳)

老年期(65歳~)

 たとえば、青年期においては、自我同一性(アイデンティティ)の確立が課題であり、「本当の自分とは何か?」といった根源的な問いに向き合う試行錯誤の時期とされています。

 思春期を乗り越え、社会に出てから30代ごろまでは、信頼できる人との親密な関係性を構築する時期であり、親密性にはアイデンティティの確立が必要だとされています。確かに、個の確立がある程度保てないと、違った価値観を持つ人たちと対等に語り合うことは難しいかもしれません。過度に相手に依存したり、妥協する形での付き合いとなってしまうと、自分を傷つけてしまったり、失うことへの恐怖などで、孤立感を強めてしまうことにもなりかねません。