女性が注目されている理由は?

 特に、リカレント教育において、女性が注目されている理由は、出産・育児を機に離職するケースが多いことが挙げられます。子育てによる仕事のブランクが長ければ長いほど、社会復帰することが難しい状況において、再びキャリアを手にするためのきっかけとして、リカレント教育が有効であると考えられています。

 今後、確実に生産年齢人口が減少していく中で、女性の潜在能力を眠らせておくのは非常にもったいないこと。性別や年齢に関わりなく、誰もが学び直したいと思ったときに学ぶことができ、それが個人のキャリア形成や企業の付加価値の向上、さらに日本社会の発展につなげられれば理想の形と言えるでしょう。

新たな「大学制度」が導入

 正社員を対象とした調査において、学び直しの問題点として、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(57.5%)、「費用がかかりすぎる」(28.0%)、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」(24.4%)、「自己啓発の結果が社内で評価されない」(16.3%)、「適当な教育訓練が見つからない」(16.0%)といったことが挙げられています(平成29年度「能力開発基本調査」)。

 こうした課題に対して、短期かつ魅力的なプログラムの開発を促進するための制度の改善や、習得した知識・技能等学んだ効果の見える化、経済的コストの軽減などが検討されています。

 教育訓練の場としては、実践的な職業教育のための高等教育機関である「専門職大学」や「専門職短期大学」が2019年度から創設されるのをご存じでしょうか? 専門とする職業分野の高度な実践力と、それを他分野の知識等と結び付けて新たなモノやサービスを生み出す豊かな想像力を育てる新しいタイプの大学・短期大学です。

2019年度からは、「専門職大学」や「専門職短期大学」が創設される予定です (C)PIXTA
2019年度からは、「専門職大学」や「専門職短期大学」が創設される予定です (C)PIXTA

 特色としては、実務家教員が数多く配置され、最新の生きた知識・技術を教授できることや同時に授業を行う学生数は原則として40人以下と比較的少人数であること、また、産業界等と緊密に連携した実践的な教育課程が編成されていることなどが挙げられます。卒業要件単位のおおむね3分の1以上を実習等により習得することが可能で、長期の企業内実習(インターンシップ)が必修化されています。さらに、社会人が働きながら受講しやすい工夫として、週末・夜間開講や集中開講、IT活用等の整備も進んでいます。

 専門職大学卒業者には「学士(専門職)」の学位が、専門職短期大学卒業者等には「短期大学士(専門職)」の学位が授与されます。これらの学位は、それぞれ「学士」、「短期大学士」相当のものです。