辞めるときの選択がポイント

 問題となるのは、会社を退職する場合。住民税の年度は、6月に始まって翌年5月までとなっているため、たとえば10月末に会社を辞める人は、その年度の住民税があと7か月分も残っていることになります。

 このような場合(6月から当年12月までに退職するケース)、退職時に3つの支払い方法が選択できます。一つ目は、自分で納付する「普通徴収」に切り替える方法。二つ目は、最後の給与・退職金等から、翌年5月分までを一括して差し引き会社が納付する「一括徴収」。最後は、すでに再就職先が決まっている場合に、転職先で給与天引きを引き継いで納付してもらう「特別徴収継続」という方法。

退職時に選べる方法(※)
1:普通徴収
2:一括徴収
3:特別徴収継続
※6月から当年12月までに退職する場合

 ただし、1月から5月までに退職する人は、一括徴収の納付方法が原則とされています(特別徴収の継続も可)。住民税の金額も決して安くありませんから、退職するときになって、初めてその負担が大きかったことに気づかされる人もいるでしょう。

「うっかり滞納」に注意して!

 会社を辞めたからといって、住民税の支払いが止まるわけではありません。ところが、退職時に住民税の取り扱いについて特段の説明を受けず、こうした仕組みを理解していないと、退職後に自宅へ納付書が届いて慌ててしまうケースもあるようです。

 このとき、住民税の支払義務があることを理解して、期限までに納付すればまったく問題ありません。一番怖いのは、納付書が届いても無視してしまうケース。「きっと、何かの誤解だろう」「会社を辞めたから関係ない」などと、自分勝手な解釈で放っておくと、あとで大変な事態になりかねません。税金と名の付くもので、不明な点があれば、必ず確認しておくことが大切です。

 納付期限までに支払いを怠っていると、間もなくして「督促状」が届くことになります。この取り扱いは、市町村によっても異なるため、ここからは一般論としてお話します。何度か届くであろう督促状も無視していると、「催告状」が届く場合もあります。これは督促状よりもさらに深刻な書面で、期限までに納付が確認できないときは、強制執行の手続きに入ることも付記されています。