会社との関係がうまくいかなくなる可能性も
最悪のケースは、滞納処分(財産の差し押さえ)です。私がこれまで何度も目にしたのは、市町村から会社宛てに届く、給与等の調査票です。この書面が届くと、会社は「従業員に何か大変なことがあった」と思い、ご相談をくださいます。
滞納処分のために、滞納者の財産を調査する必要があるときは、給与等の支払状況について照会を行うことができることになっているため(国税徴収法第141条)、調査が入る場合があるのです。勤務先としても、従業員の税金滞納は、見過ごせません。
こうした滞納問題が発端となって、会社との関係がうまくいかなくなってしまった方を何人か見てきましたが、どうも税金についての意識が低いようです。住民税は引っ越しても、転居先まで追いかけてきます。結婚して専業主婦になっても、前年に一定の所得があれば課税されます。督促しても反応がなければ、勤務先にも調査が入り、決してプラスにはなりません。
あとから渋々納付したとしても、納付期限までに収めていなければ、延滞金が発生します。支払いが長引けば長引くほど、負担は重くなりますし、過去の住民税に加えて、今の住民税もあれば、さらに支払いが膨らんでしまいます。
このような状況に陥らないためにも、退職するときに、その年度分の支払いが残っていれば、どのくらい残額があるか、どのように支払っていくか、きちんと把握しておくことが大切です。
もし、督促状が届いてしまい、すぐに納付が難しい場合でも、決して放置をしないこと。まず、担当窓口に連絡をして、納付の意思があることを伝え、分割納付などができないか、納付方法について相談をされてみることをおすすめします。
文/佐佐木由美子 写真/PIXTA
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