年間収入をみるときの落とし穴

 退職後も治療を続けるとなると、健康保険のことはしっかりと確認しておきたいところです。一般に、無職になると家族の扶養に入れると思うのではないでしょうか? しかし、傷病手当金をもらいながら療養している場合は、ひとつ注意しておきたいことがあります。

 健康保険において、被扶養者となるための年間収入要件は、原則として130万円未満です。ここでいう年間収入とは、過去における収入ではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の見込み年収額のことをいいます。月額あたりで考えると10万8333円以下、日額3611円以下となります。

健康保険で被扶養者となるためのボーダーラインは、年間収入「130万円」未満かどうか (C)PIXTA
健康保険で被扶養者となるためのボーダーラインは、年間収入「130万円」未満かどうか (C)PIXTA

 ところが、この収入に含まれるのは、給与ばかりではありません。雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の出産手当金や傷病手当金も含まれるのです。

 つまり、働いていなくても、傷病手当金を月額10万8000円程度以上もらっている場合は、これを収入とみなして、家族の被扶養者になることができない、ということになります。

 この額から逆算すると、標準報酬月額が16万円以下の場合は該当しますが、それよりもたくさんの給与をもらっていた場合はNG。つまり、自分で国民健康保険に入るか、任意継続をするか、いずれかから選択して対応を考えなければなりません。