年俸制で注意したいケース

 年俸制の場合は、注意が必要です。年俸額を12分割して、決算賞与は別途成果や業績による、という契約もあれば、年俸額から月例賃金と賞与を案分して支給する場合もあります。たとえば、年俸額を16分割し、年2回2カ月分ずつ賞与として支給するように年俸額を合意しているケースなどです。

 このような場合に、年俸期間の途中で退職するときは、賞与支給日に在籍しないことを理由に不支給とできるかどうかは問題です。

 確定年俸で賞与という名称で支払う部分に関しては、契約開始から退職までの月数又は日数に応じた部分について、労働契約終了時に請求権を持つと解せられます。したがって、年俸額全額を労働した日数に応じて計算し、すでに支払った額を差し引いて残りを支払うというのが基本的な考え方といえるでしょう。

トラブルを回避するために

 思い起こせば、6月に辞めた香乃さんの先輩は、賞与支給日を過ぎてから退職していました。同じ月に辞めるのでも、支給日在籍要件という点に違いがあったとは、考えもしませんでした。

 香乃さんは、給与の締め日に合わせて12月15日を退職日として届け出ていました。しかし、賞与支給日の20日以降に退職日を遅らせてもらえないか、会社に相談してみることにしました。

 賞与制度は、必ず設けなければならない訳ではありませんし、会社によってルールも様々です。退職を考えている場合は、賞与をはじめ関連する規定を事前にチェックすることがトラブル回避の近道といえるでしょう。