こんにちは、「ワークルールとお金の話」の佐佐木由美子です。今回で5年近くにわたり続けてまいりました本連載も最終回を迎えることとなりました。最後に、私がワークルールや社会保障制度について書き続けてきた理由について、お伝えしたいと思います。

よりよく働くための知恵

 私たちが働く上で、密接に関わっている労働法。この連載では、ずっと「ワークルール」という言葉を使ってきましたが、「労働法」という名前のついた法律は存在せず、労働基準法や労働契約法など労働問題に関するたくさんの法律を総称して労働法と呼ばれています。

 法学部出身の方や法律を学んだことがある人であればいざ知らず、社会人になる前に、こうしたワークルールを体系的に学校の授業で教えてくれるわけではありません。学校を卒業すると同時に、多くの人が社会人となって働くことになりますが、ワークルールについては自分で勉強しないといけないため、「雇用契約書の見方も分からない」という状況は決して珍しくありません。「会社から渡されるものだから、何となく正しいものだろう」といった感覚で、何かおかしいなと思っても、受け流してしまう人は多いのではないでしょうか。

 しかし、入社してからトラブルになることは、ままあることです。

「残業はないと言っていたのに、毎日残業ばかり」
「残業代が支払われない」
「上司からセクハラを受けた」
「妊娠したと言ったら解雇された」
「給与が突然引き下げられた」

「残業代が支払われない」「上司からセクハラを受けた」「給与が突然引き下げられた」……。このようなトラブルに遭ったときに、必要な知識があれば上手く問題が解決するかもしれません (C)PIXTA

 これらは一例ですが、私は仕事柄、数え切れないほどの労使トラブルを目の当たりにしてきました。しかも、女性の場合は、パワーバランスで負けてしまい、泣き寝入りするケースも少なくありません。

 そうした話を後から聞くと、「もっと早く相談してくれていたら……」とやるせない気持ちになりました。同時に、「もしトラブルに遭ったときに、必要な知識があったら、問題を上手く解決できていたかもしれない」ちょっとしたボタンの掛け違いで、修復不能となってしまった残念なケースもあったからです。

 交渉のテーブルに着くとき、共通言語は法律です。会社が就業規則などで独自に決めたルールはもちろん大切ですが、解釈の仕方などによって、必ずしも正しいとは限らないこともあります。そのとき、法律(ワークルール)を知っていることが重要な意味を持ちます。