介護休業の改正ポイント

 介護休業で大きく変わった点を挙げてみましょう。これまでは介護を必要とする家族(対象家族)1人につき、通算93日まで原則1回に限り取得が可能とされていました。改正後は、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に介護休業を分割して取得できるようになりました。

 また、介護のための所定労働時間短縮措置(選択的措置義務)については、介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能とされていたものが、改正後は介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能となりました。

 介護のための残業免除(所定外労働の制限)についても、対象家族1人につき、介護の必要がなくなるまで受けられるようになります。

(注)上記は法律上における改正内容であり、会社によってこれらを上回る内容が定められている場合があります。詳しくは、勤め先の就業規則等をご確認ください。


介護保険料の見直しも

 アラフォー世代の人たちにとって、10年後といえば親の介護は決して遠い話ではありません。何よりも、40歳になると、介護保険料が給与から天引きされるようになります

 受けられる介護サービスは、65歳以上(介護保険第1号被保険者)と比べると限られていますが、40歳になると私たちも介護保険被保険者(40歳~64歳までを「第2号被保険者」といいます)になるのです。

介護休業は今後ますます身近なものになることでしょう (C)PIXTA
介護休業は今後ますます身近なものになることでしょう (C)PIXTA

 そして今後、介護保険のニーズが高まるにつれて、保険料も見直しが適宜行われていくことになるでしょう。現役世代が支払う介護保険料の見直しについては、2017年8月分から段階的に実施する方向で検討が始まっています。

 現時点での「案」では、大企業に勤める会社員ら(健保組合)は平均月700円以上の負担増、中小企業の会社員ら(協会けんぽ)は逆に平均月240円程度減、公務員ら(共済組合)は平均月1970円以上の負担増という数字が算出されています。これからどのように見直しが進んでいくか、気になるところです。

 今後は、身のまわりで介護する人・される人は、増えていくでしょう。自分の上司が介護休業を取る、ということもあるかもしれません。そうしたときに、私たち一人ひとりにかかわる社会全体の問題として、捉えていきたいものです。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA

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