女性管理職は増えていくか?

 女性管理職の状況について、胸を張って公表できる企業は多くないでしょう。産業別管理職に占める女性労働者の割合(賃金構造基本統計調査に基づく雇用均等・児童家庭局による特別集計)をみると、産業平均値で7.6%。医療、福祉分野では42%と高いものの、建設業や鉱業ではわずか1%にとどまっています。

 女性管理職を増やしていくことは、喫緊の課題です。今後、どのように各企業は取り組んでいくのでしょうか。新卒・中途を問わず、女性の採用を大幅に増やしていくのでしょうか。

 男女雇用機会均等法では、労働者に対して性別を理由として差別的取り扱いをすることを原則禁止しています。一方で、雇用分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として、女性を有利に取り扱うことは、法に違反しないものとしています(同法8条)。

 募集・採用においては、これまで総合職、一般職などそれぞれの雇用管理区分でみて、労働者に占める女性の割合が4割を下回っている場合のみ、女性のみを対象としたり、女性を有利に取り扱うことが認められていました。

 さらに指針が改正されたことにより、係長、課長、部長などそれぞれの「役職」でみて、その役職の労働者に占める女性の割合が4割を下回っている場合も、特例として女性のみを対象としたり、女性を有利に取り扱うことが認められるようになりました(「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」2015年11月30日告示)。

 たとえば、その企業の状況に照らして「経理課長募集(ただし女性に限る)」といった表現で求人をしても問題になりません。

 今後、指針の改正も追い風となり、社内での人材育成はもとより、業務経験豊富な女性を管理職として採用していく動きは広がっていくでしょう。これは、マネジメント経験者にとってチャンスといえます。

 職責の重さや仕事と私生活との両立が困難等を理由に、管理職になることを躊躇する女性は多いですが、迷っているなら、勇気を出してみませんか?

 ひとつの企業に長く勤め上げ、昇進していくチャンスを切り開いていくことも素晴らしいことです。しかし、今の職場にガラスの天井があり、頑張っても可能性が見いだせないと感じているなら、別の職場で能力を発揮する道を考えてみてもよいかもしれません。

 今後、長期的なキャリアを考えると、女性が管理職になって働き続けることは、もはや特別なことではありません。ぜひ勇気を出して、一歩を踏み出してください。