ペナルティにもルールがある

 遅刻をして、本来働くべき労働時間から、遅刻した時間分の給与がカットされる。これは、ノーワーク・ノーペイの原則から、違法ではありません。しかし、働いていない時間を超えて、ペナルティとして給与カットが行われるときは、それがまず就業規則に定められていることが必要です。

 どういったルール違反をしたときに、どのようなペナルティがあるか、就業規則においてあらかじめ定められているなら、懲戒処分として行われる場合もあり得ます。度重なる遅刻や欠勤を懲戒事由の一つにしている会社は多いといえるでしょう。

遅刻は確かによくないですが、ペナルティが課される場合はルールもあります (C) PIXTA
遅刻は確かによくないですが、ペナルティが課される場合はルールもあります (C) PIXTA

 ただし、ペナルティとして減給の制裁を行う場合は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期間の10分の1を超えてはならない、と法律で定められています(労働基準法第91条)。

 3回の遅刻を1回としてペナルティが課されるのであれば、半日分の減給しかできないということになります。例えば、1日あたりの平均賃金が1万円の場合、5000円が1回の減給制裁の限度額となります。

 遅刻で働いていない時間の合計が、平均賃金1日分の半額以上であるなら、減給の制裁の半額と合わせて、1日分の給与カットを行うことは可能と言えます。

 しかし、実際にはこのようにうまく当てはまるとは限りません。素子さんのケースがまさにその典型であり、法律の定めを超えて減給が行われているケースです。

 そう考えると、3回の遅刻で1日分の給与カットは、適法ではないケースも生じるため、ルールそのものを見直す必要があると言えるでしょう。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA

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