コメディに「真剣に」挑戦する俳優たち

 俳優は演じ切るのが仕事。斎藤さんは、サンシャイン斎藤の役を照れて笑ってしまうことなく熱狂的に演じ切り、プロの芸人を笑わせました。その姿を見て、「お笑いパフォーマンスのセンスがあるな」「お笑い芸人の素質があるのかも」などと思うよりも、「プロの俳優だな」と強く思ったのです。

 よく、コメディに挑戦する俳優さんが、真剣に取り組むからこそ面白味が出ると言っているのを聞いたことがありますが、そんなことを、斎藤さんからも感じました。

 また、この番組の後半に西岡徳馬さんが登場していますが、同様の感想を持ちました。

 西岡さんは、吉本新喜劇のすっちーと吉田裕のネタ「乳首ドリル」をハイテンションに完全コピー。やはり出演者から感心されていました。ちなみに西岡さんは、2015年にも「テツandトモ」のネタを完コピ。松本人志さんはベストな名場面として、西岡さんのこのネタを選ぶほどです。

 もちろん昔も、俳優がコミカルなイメージでバラエティ番組に登場することはありました。しかしそれは、「素」を出して、天然だったりボケたりした発言を見せることが多かったように思います。一方で今回の「笑ってはいけない」では、素を出すのではなく、俳優の本業の延長線上である「演じる」ことで笑わせたところが違います。俳優のバラエティへの関わり方が、少しずつ変わってきたのではと思われるのです。

 俳優たちが映画やドラマの番宣のためにバラエティ番組に出演するのは、今となっては当たり前になりつつあります。ドラマ出演者が、バラエティ番組のロケに行ったり、ゲームに参加したり、トークをしたり。あまりにも番宣アピールがあからさまになると、同じ出演者や視聴者からの良い反応が得られず、逆効果になってしまっている例も出てくるようになりました。

プロモーションがからまないバラエティで、好感度が得られる

 1月9日放送の『さんま・玉緒のお年玉 あんたの夢をかなえたろかSP 史上最大1万人の夢!』には、菅田将暉さんが出演して、同級生として過ごしたいという女子高生の夢をかなえていました。この番組の菅田さんが出ている場面では、プロモーションに触れることは一切なかったので、番宣ではないものだと思っていましたが、番組の最後には、テロップで短く、菅田さんの出演映画『キセキ』の告知が流れていました。

 この企画自体が誰かの夢をかなえるものだったため、このような形でさりげなく告知をすることは、良い選択だったのではないかと思います。番宣にかこつけて夢をかなえた、ととらえられるような構成は、番組としても、俳優としても本位ではないでしょう。

 また、もともと番宣がないバラエティ番組は、視聴者からの評価が上がるという現象もありました。放映は終了してしまいましたが、タモリさんが出演の『ヨルタモリ』は、タモリさんの意向もあって、番宣がらみのゲストを当初は出さず、そのことは番組の好感度向上にもつながっていました。