イケメン俳優の隣のポジジョンを狙え!?

 昨今は、こうした、イケメン俳優の友達枠が注目され始めているような気がします。

 俳優・中野英雄さんの次男の太賀さんも、そんな一人かと思います。多くの俳優、女優が注目されることとなった2012年の映画『桐島、部活やめるってよ』では、主人公・桐島の変わりにバレー部のレギュラーになって苦悩する役を(もちろん、東出昌大さんや神木隆之介さんと同じ高校に通う生徒役です)、フジの月9『恋仲』では、福士蒼汰さんの親友役、前出の『ゆとりですがなにか』では、岡田将生さんの後輩役を演じます。

 しかし、太賀さんが気になるのには、別の理由もあります。先日『ぐるナイ』では、福士蒼汰さんが太賀さんのことを親友と紹介すると、レギュラーの二階堂ふみさんも「私の親友」と、半ば太賀さんの取り合い状態になっていました。

 また、映画『男子高校生の日常』(2013年)で共演した菅田将暉さんも、太賀さんを親友と言っていますが、それ以上に『ボクらの時代』では、「初めてタメで完全な敗北感を感じた人」とも語っていました。同世代の同業者にこれだけの感情を抱かせる太賀さんがこれからどんな俳優になっていくのか、注目せずにはいられません。

 以前、アミューズに所属の劇団プレステージの俳優数人にインタビューをしたことがあります。そのとき、メガネにアフロヘアーの個性派、今井隆文さん(現在『重版出来!』に出演中です)は「続ければ続けるほどライバルが減ってくる。僕の枠には、同じような俳優がそんなにいないので、そのすき間で戦っていこうと思います」と語っていたのが印象的でした。

 すき間で戦っていくということももちろんありますが、俳優にとって、20代で輝く個性と、30代で輝く個性、そして40代、50代で輝く個性というのは、それぞれに違うものではないでしょうか。新しい個性派俳優たちは、今でこそ、イケメンの友達として映画やドラマに出演していますが、これから10年20年経ったときに、またその立ち位置が変わって、今よりもっと輝いているということもあるのかもしれません。

文/西森路代 イラスト/川崎タカオ