今回は、「スーパーサラリーマン左江内氏」や「LIFE! ~人生に捧げるコント~」などで活躍し、また俳優仲間やお笑い芸人たちとの交友関係も注目されているムロツヨシさんを取り上げます。最近も、インスタグラムを開設したところ、初日で42万人にフォローされたことでも大いに話題となりました。

 昔、ある俳優さんたちが演じるコント番組の収録を取材したことがあります。台本を読んだ後に俳優さんたちがコントを演じる本番を見たら、文字で書かれたことが演じられることで、想像を超えて何倍も面白くなっていました。役者さんが台本からお芝居を創り上げていく過程はもちろん知っていましたが、目の前で見て、お芝居が創り出される面白さを改めて実感しました。

 今回取り上げるムロツヨシさんと聞いてぱっと思い浮かぶのは、福田雄一さんが演出している作品の数々です。ムロさんは、福田さんが初めて映画監督を務めた作品「大洗にも星はふるなり」に出演して以来、連続して福田作品に出演している俳優。最近であればドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」でも、部下を演じる中村倫也さんとの掛け合いが注目されていました。この掛け合いは、冒頭で書いたように、俳優が創り出した面白さでしょう。

みんなから信頼されている俳優・ムロツヨシ イラスト/川崎タカオ

 俳優が自ら膨らませたものなのだろうなという掛け合いが見られるのは、視聴者として楽しいものです。先日見に行った映画「帝一の國」でも、掛け合いの楽しさが感じられました。親子を演じる菅田将暉さんと吉田鋼太郎さんが、テストの答案の点数を発表し合う。文章で説明をしたら数文字で終わってしまうシーンであっても、二人の演じ方によって爆笑をかっさらっていたのです。

 菅田さんも、前出の福田作品には欠かせない俳優の一人ですが、福田さんというのは、俳優の持つ空気にほれたら、その人の持つ力を信頼しながら最大限に引き出せる人なのかもしれないと思いました。そして、その中でも特に信頼されている中の一人が、ムロさんだと思います。

 そんなムロさんにチャンスが巡ってきたのは、瑛太さんや上野樹里さんと共演した映画「サマータイムマシン・ブルース」だったそうです。そのときのことを著書「ムロ本、」につづっており、「19歳から、役者をして8年」目で、「映画はおろか、映像で芝居などしたことがない。そんな役者に監督から指名などあり得ない」と考えていたそうです。監督は本広克行さんでした。

 その後ムロさんは、本広さんの「踊る大捜査線」シリーズにも連続して出演。一度指名してくれた人の期待を裏切らない人なのだと思われます。