「キャラ」を超える内面性、そして強い心

 テレビというものは、誰が決めているのか分かりませんが、新しいものを求めますし、それを見つけると、とにかく呼んで呼んで呼びまくります。そこに対して、強度を持って挑まないと、単に消費されてしまいます。テレビ番組出演が一周してしまうと、二周目はなく、誰も呼んでくれなくなるという構図があり、近年も、そんな芸人さんを何組も見かけたかと思います。

 でも、りゅうちぇるさんは今、それを超えている瞬間を見せている気がします。

 近年、キャラという言葉がよく取り上げられていました。でも、テレビの世界では、キャラはキャラ以上でも以下でもないという印象がありました。だから、キャラを設定したはいいけれど、一周したら呼ばれなくなっていきます。

 でも、前回取り上げたカズレーザーさん(誰の自由も尊重する姿にみんなが共感する、芸人○○とは?)や、今回のりゅうちぇるさんを見ていると、強いキャラでテレビの世界に出てきて、常にキャラで振る舞うことを求められても、それを超える内面を持っている人というのがいるのだなということが分かってきました。

 よく考えると、彼らのキャラは人目を引くために取り入れ、そこに自分を合わせていくものではありませんでした。とにかく自分の好きでやっていたことが、人から見たらキャラになっていただけなのです。

 だからこそ、いくら求められても、消費されることがないし、彼らには2周目があったということなのでしょう。もちろん、3周目以降がどうなるのかは分かりませんが、個人的には、気づいたら彼らはもう何周も走っていた、という未来があればいいなと思うのです。

文/西森路代 イラスト/川崎タカオ