竹内涼真の持つ二面性に引かれてしまう理由

 竹内さんの第一印象としては、体つきもしっかりしていて、髪形も短めで、どちらかというと、今風というよりも、ちょっとクラシカルなイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。声もはっきりしているし、男らしいその見た目からして、上目遣いと結び付くキャラクターには見えなかったと思います。個人的にも、勝手に昭和の男を想像していたのです。

 役柄的にも、ちょっと武骨で率直なところのある「過保護のカホコ」の初のような役や、「ひよっこ」で演じた1960年代に生きる慶應ボーイで御曹司の島谷のような、現代の若者を代表するというよりは、古風なイメージの役が思い浮かびます。最近でいうと、映画「帝一の國」やドラマ「時をかける少女」などでも、そういった役柄で出演していました。

 また、「ひよっこ」の演出家の方が、竹内さんの朝ドラ起用について「真っすぐ人を見る視線が印象的で、飢えている感じ、現状にとどまりたくない感じ」に見えて、そこから起用したと「あさイチ」でコメントしていました。

 そんな硬派なイメージは、竹内さんの同年代の若い女性たちだけでなく、竹内さんのお母さん世代、もっと言えばおばあちゃん世代にとっても、自分の娘時代の理想の男性像のように映るのではないでしょうか。

 実際、「ひよっこ」に出演したことで、街を歩いているときにおばあちゃん世代にも気付いて声を掛けてもらえるようになったと竹内さん自身も語っています。また、実のおばあちゃんや、大叔母さんとも仲良しで、いまだに一緒に買い物に行くというエピソードをトーク番組で語っていました。

 ここまでの話で、竹内さんがシニア層にまで支持されているということは理解できたと思います。しかしもっと驚いたのが、今どきの若者の柔軟さも持っているところです。

 というのも、昭和的な見た目や価値観の人は、武骨であったり不器用であったり、「男は黙って……」というのがかっこいいと思いがちです。ところが、見た目は昭和的なのに、⽵内さんがトー クで⾒せる素の部分は、今どきの若者の価値観を感じさせます。