周囲の目を気にしない自由人『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の河野悦子

 現在放送中のドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の河野悦子は、カヨコと共通点のあるキャラクターかもしれません。悦子は、ファッション誌の編集を目指し、同じ出版社を何度も受験して、面接官に覚えられているような人物でした。そんな彼女でしたが、ひょんなきっかけで、憧れの出版社に入ります。しかし、配属されたのは希望ではなかった校閲の仕事。悦子は地味な仕事ながらも、そこで頑張って、ファッション誌への異動を夢見ています。

 そんな彼女が社内の女性たちから密かにつけられたあだ名は「おしゃかわ」でした。「おしゃれでかわいい」という意味に思えますが、実際には「校閲部のような地味な部署でおしゃれなどしても無駄でかわいそう」という意味が込められていたのです。

 しかし、そんなあだ名をつけられようが、人になんと思われようと、くじけることがなく、思ったことは、はっきりと言い、会社の中の人にも、合コンで出会った男性たちにも一切媚びず、ほとんど人に合わせるとか、空気を読むなんてことが頭にない悦子は、今までの石原さんの役の中でも、一番我が道を行くキャラクターです。

 以前であれば、全方位に気を遣い、誰からも嫌われず、バランスよくうまく生きることが、憧れの対象になることもありました。でも最近は、嫌われないために努力をしている人よりも、自分の目標を全うするために行動する人や、周囲の目線に戸惑わないで、我が道を行く女性のほうが、憧れの対象になってきているのかもしれません。

 2013年12月に出版された『嫌われる勇気』は、100万部を突破し、女性たちにも支持されました。このヒットは、「全方位」に愛されるために行動する必要はないことを女性たちが受け入れる一つのきっかけになったのかもしれません。また、この傾向は、前回取り上げた黒柳徹子さんの人気(前回記事・インスタで話題 83歳黒柳徹子のキラキラでいる方法)ともつながっているのではないでしょうか。

 今回は石原さとみさんが演じた三つの作品の役から、彼女に投影された女性の憧れの変遷を見てきました。今後も彼女が演じる役を見れば、女性がそのときにどんな憧れを持ってるのかが見えてくるのかもしれません。

文/西森路代 イラスト/川崎タカオ

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西森路代
西森路代

にしもりみちよ

ライター/人気事象評論家。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。主に、アジアのエンターテインメントや女子、人気について執筆。共著に「女子会2.0」(NHK出版)、著書に「K-POPがアジアを制覇する」(原書房)がある。TBS RADIO文化系トークラジオ 「Life」にも出演。