量産型ドS男子にそろそろ辟易?

 これまでのラブコメのセオリーが詰め込まれていても、ほかの作品とちょっと違うところがあり、だからこそ、新鮮な気持ちでドラマのファンになる人も存在するのだと思われます。

 それは、恋に悩むのは、主に星野源さん演じる男性のキャラクター津崎平匡のほうだというところです。新垣結衣さん演じる森山みくりは、恋に悩みはしますが、ちょっと考えて答えを出したら(分析屋でもあるので)、すぐに平匡に気持ちを伝えられるタイプ。この性格があったからこそ、大胆にも契約結婚を提案することができたのです。

そう、私たちは、こんなキャラクターを待っていた……! イラスト/川崎タカオ
そう、私たちは、こんなキャラクターを待っていた……! イラスト/川崎タカオ

 これまでのラブコメの女性キャラクターはドジッ子でからかいやすい子で、男性キャラクターは、ツンデレというのが、ここ10年以上、アジア全域での鉄板でした。もちろん「逃げ恥」の平匡も考えすぎてツンとデレを繰り返す無自覚なツンデレキャラクターではありますが、これまでのツンデレのキャラクターは、自覚的に「S」の入ったツンデレでした。

 ところが、「壁ドン」ブームなどの影響もあり、その自覚的な「S」のツンデレが、どんどん形骸化され、量産され、単にありふれたキャラクターの一つになってしまい、そのせいで、瑞々しい「胸キュン」を描くことがだんだん難しくなってしまいました。

 また、現実社会を見ても、そんな積極的ツンデレ男子はほとんど存在しないし、いたとしてもそれは支配的でわがままなオラオラ男子ではないのか?とみんな薄々気づき始めていたのが、今だったのではないでしょうか。