ワイルドで色黒イメージからソフトな雰囲気に

 前回記事・「逃げ恥」の星野源に私たちが釘付けになる理由でもラブコメのセオリーについて書きましたが、岩田さんが出演したドラマも、次のラブコメ・セオリーに合致します。

 そのセオリーとは、「身勝手な本命王子」と「誠実な当て馬」が出てくるものがたくさんあるというものです。例えば、『花より男子』では、オレサマな道明寺司が身勝手な王子で、花沢類が誠実な王子様と言えます(花沢類も実はつかみどころがないのですが)。このような性質をベースにラブコメの登場人物のキャラクターができていることが多いのです。特に韓流ドラマなどは、『宮~Love in Palace』など、セオリーからアレンジをしてキャラクターを構築したものがヒットしました。

 昨今は、王子と当て馬という二人が対象的に出てくる物語も少なくなり、『逃げ恥』では、誠実で当て馬的性格を持っているのに、オクテすぎて無意識で身勝手な行動をしてしまう本命王子という両方の特徴を一人で併せ持った複雑なキャラクターが、うまくヒロインを翻弄することで、視聴者を引き付けています。

 では、岩田さんが演じてきた役はどうでしょうか。岩田さんは、『ディア・シスター』や『砂の塔』では、典型的な「誠実な当て馬」を演じてきました。優しすぎてヒロインには、(当初は)相手にされず、ヒロインを思って行動すればするほど、ストーカーに間違われたりと、かわいそうなことになってしまいます。

 こういう役が続いたのは、三代目 J Soul Brothersという、ぱっと見ワイルドで男らしいグループにいるからこそ、そんなイメージを払拭したいとか、グループの中では、年下でソフトなイメージがあるから、そこをうまく役に取り入れたということもあるでしょう。

 三代目のオーディションを受けたときは、ワイルドで色黒だった岩田さんは、事務所の社長であるHIROさんから、「ガンちゃんは笑顔がいいんだから」と言われたことから、自分の本来の良さを見逃していたと感じて、今のようなソフトな雰囲気に変化したそうです。そのことで、こうしたドラマや映画にも出演するようになったのです。