「優しすぎる壁ドン」シーンにうるる……

 さて、最終回を前に風見さんと百合ちゃんの名シーンを振り返ると、第9話の「優しすぎる壁ドン」シーンが思い浮かびます。

 先日、大谷亮平さんご自身に取材をする機会がありました。取材の場で大谷さんは、あのシーンでは、「風見はもっと感情を抑えないといけないんだけど、思わずこみあげてきた」と語っていました(女性セブン1月1日号)。

 大谷さんが、百合ちゃんの名セリフに共感しながら壁ドンを演じていたからこそ、あのシーンが人々に深い印象を残せたのかもしれません。

 最初は、漫画の風見に比べて、大谷さんの演じる風見は、ちょっと大人っぽいなというイメージを持っていました。「大人っぽい」という要素は風見さん人気のために必要なものだったのかもしれません。

 ドラマを見続けていくうちに、大人っぽいからこそ、年齢を理由に甥っ子だと受け取られてしまう風見の切ない気持ちをより感じました。また、その大人っぽさは、誰に対してもフラットな見方をするキャラクターとしての説得力にもつながっています。そして、そのフラットな魅力が、風見さんというキャラクターの人気につながったのではないかと個人的には思うのです。

文/西森路代 イラスト/川崎タカオ