2. 目の前のことをひとつずつこなしていく

 私たちはできるだけ多くの仕事を処理しようと必死です。そんな時に多くの人がやるのがマルチタスキング。しかし、近年さかんに指摘されてきているように、脳はひとつの作業しかできません。2001年に行われたある研究(*)では、タスク間をスイッチすると、終わるまでにより長い時間を要することがわかっています。

[引用]つまり、マルチタスキングは表面的には効率が良さそうにうつるが、結果的には時間がかかる上、ミスも多くなる。David Meyer(ディヴィッド・メイヤー)博士によると、タスク間を行き来する際に生じるちょっとした思考停止によって、最大で生産的な時間の40%が失われることになる。(*)

 複数のタスクを同時並行でやることも、頭の中であれこれ考えることも、脳の妨げになります。特に余裕が一切なくなってしまった時は、他のことはいったん忘れて目の前のタスクをひとつずつこなしていきましょう

 やることを整理するためにTo Doリストを書く人もいますが、仕事量に圧倒されている時はやることの多さを再認識してしまい、さらに焦りが募るという意味で逆効果かもしれません。そんな時は、自分に「今一番やるべきことは何か?」という質問をし、それに取り掛かるのです。そしてタスクを終えた後にそれを書き出し、その上に傍線を引くようにしましょう。こうすると自分の進歩が見える上、既にあるリストを消していくよりも前進したという満足感が得られます。

3. 集中している対象を変える

 さて、少しリラックスし、仕事に手がついてきたところで自分が集中を向けている対象をシフトしていきましょう。これはライフ・コーチのAnthony Robbinsのレース・カーの比喩からヒントを得たものです。

[引用]車が横滑りしはじめると、人は反射的に衝突を防ぐために壁に目をやる。しかし、自分が恐れているものに集中し続けると、恐れているもの、状況に行き着いてしまう。《中略》人生においてほとんどの人が自分の欲しいものではなく、欲しくないものに集中力を向けている。
[Anthony Robbins(1994)『Giant Steps: Small Changes To Make a Big Difference』、Simon & Schuster]

 また、自分が頭の中で抱くイメージはとても大事です。仕事が終わっているのをイメージするのと、仕事が終わらないのをイメージするのではそれに取り掛かる時のやる気や生産性がまったくといっていいほど違います。仕事が終わっている想像と仕事が終わらない想像をそれぞれしてみて下さい。きっとあなたの思考や気分がまったく違ってくるはずです。

 忙しさがピークに達し、動けなくなった時はこの3つのステップを踏んでみましょう。

1. 現状の自分を許す
2. 目の前のことをひとつずつやる
3. ポジティブな結果を想像する

 この1~3に従えば気持ちが動揺してしまっても、状況に対処できるようになるはずです。