要求に対して「イエス」をもらうためには

 さて、要求する時はいくつかのポイントを抑えておかなくてはいけません。一つは回りくどく相手にたずねないこと。前述のPeckが提示している、欲しいものを手に入れるためのポイント21項目(*)の中にも以下のようなアドバイスがありました。

 [引用]具体的な要求をストレートにはっきりと伝えること。自分が何を要求しているかを大げさなほど明確に伝えよう。何が欲しいのか、誰から欲しいのか、いつ欲しいのか、そして求めている結果がどんなものなのかをはっきりさせておくこと。より具体的、よりストレートであればあればあるほど良い。

 日本人が特にそうなのかもしれませんが、申し訳なさそうに何かを要求するのはやめましょう。「もし無理だったらいいんですけど……」「おこがましいお願いなんですが……」といった前置きを入れすぎないように。低姿勢が度を過ぎると、かえって相手の反応が悪くなります。自信を持ってたずねましょう。そして相手があなたの要求に応えてくれたときは、思いっ切り感謝しましょう。Peckも次のような指摘をしています。

 [引用]直接要求をする際は言葉尻が途切れないように。身体、声から自信が伝わるように背筋をまっすぐ伸ばし、肩を広げ、頭をしっかりと上げ、落ち着き、自信のポーズを取ろう。

 そして最後に「ノー」という答えが返ってくることを恐れないこと。何かを要求することよりも、要求しないことの方が失うものが大きいのです。「ノー」と言われても個人的に取る必要はまったくありません。もし「ノー」という答えが返ってきたとしても、それは相手に自分の立ち位置や求めることを提示できるという意味で有益です。

 [引用]「ノー」と言うことを恐れるカルチャーの中に私たちは生きています。また、私たちは「ノー」という答えが返ってくることも恐れ、自分が欲しいものを人から要求することができないのです。

 周囲にとって「いい人」「できる社員」でいるために要求を控えていませんか? いい関係性を築いたり、いい仕事をしたりするためには要求するスキルは必要不可欠です。

 要求するスキルは試行錯誤を通して磨かれていきます。失敗しても、挑戦し続けましょう。いろいろな頼み方を試し、ベストの方法を編み出していけばいいのです。

 「You Don't Get What You Don't Ask For(要求しなければほしいものを手にすることはできない)」と題されたJason Zookの記事(*)でも次のようなことが書かれています。

 [引用]的確な方法で人に要求すればするほど、どんどん上達していく。そして頼み上手になればなるほど相手からの「イエス」という答えが増える。

 あなたはしっかり人に要求できていますか?

文/相磯 展子

この連載は、毎週木曜日に公開。下記の記事一覧ページに新しい記事がアップされますので、ぜひ、ブックマークして、お楽しみください!
記事一覧ページは⇒こちら