「自分への思いやり」がある人のほうが成長する

 「自分への思いやり」は、自己中心・自己満足といった特性とは違います。では前者と後者の違いはどこにあるのでしょうか? 端的に言うと、前者のほうが柔軟に状況をとらえ、改善に向かっていく姿勢を促す一方で、後者はうまくいっていない現状を直視するのことをストレスに感じてしまう状況を作り上げます。

[引用]自尊心が高い人は、失敗を自分のコントロール外にある因子のせいにして対応する傾向がある。こうすることで失望感に対処しているのだが、「学び」の観点からはこの姿勢はあまりメリットがない。それに対して自分への思いやりが強い人は、自分の欠点や、自分がどう失敗に寄与したかを素直に認めることができる。しかし、そのことについて自分を責めたりしない。むしろ自分を慰め、失敗や間違いを人生の一部と捉え、その状況を成長のチャンスだと考える。
(99U「The Dangers of Being Too Hard On Yourself」より)

「自分への思いやり」はストレスを低下させる

 また、自分に優しくすることでストレスも軽減されます。2014年にブランダイス大学の心理学者たちによって発表された研究では、被験者に人前で話すなどストレス度の高いタスクをいきなり事前説明なく与え、血液検査による炎症反応の測定が行われました。その結果「自分への思いやり」によって、身体がどうストレスに反応するかが変わってくることが分かっています。

[引用]《前略》自分への思いやりが強い人は、課されたタスクが終わった直後でも、精神的なストレスが少なかった。これが何を意味するかというと、自分に対する思いやりは、ストレスが原因で起こる健康への害や、クリエイティブな仕事に伴うプレッシャーから私たちを守ってくれるということだ。
(99U「The Dangers of Being Too Hard On Yourself」より)